‘the Dream with the Occasional Real’ 1&2 -My Original Japanese Novel-
Welcome to this page! 今から4年くらい前に書いてみた小説もどきを少しずつ投稿してみます。
I will put little by little my Japanese sentences like a novel I wrote about four years ago.
日本語のタイトルは「夢、ときどき現実」です。本来は英文で書いていくページにするつもりでしたが、こちらには縦書機能があるので、こちらを使います。紹介ページ(英語)は以下からどうぞ。
Introduction of Myself and This Web Site (in English)
※ユーザーが投稿するコンテンツ等(引用文献等を除く)の著作権はユーザーに帰属します。以下の縦書文章も同様です。(やみぃーノけんChan (Ken-aka-Yammy))
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「夢、ときどき現実」(©やみぃーノけんChan (Ken-aka-Yammy))
1
部屋は狭いのにどうして部屋を片付けるのに時間がかかるのか。俺は実家で自分の部屋を片付けているときに見つけた約五年分の日記帳に手を伸ばした。一冊一年分のデスクダイアリーを日記帳として使っている。何となくその日記帳を机に重ねて置いてみる。いつ頃だろうか。書くことが好きで、夢中になれると気づいたのは……。
2
いつの間にか今年も8月半ば。まだまだ暑さが厳しい。俺は盆休みを利用して帰省した。正直言ってこの御時世に仕事が休みっていうことは有り難い。いや、これが本来の姿なのかもしれない。まぁ、ちょっと仕事をもって帰っているのだが。
俺は間違いなく休みがとれているであろう大学の同輩、内藤に「ご飯に行かないか」とLINEで誘ってみた。内藤は俺たちの地元で小学校教員をしている。顔が広いから他の人との約束があるだろうと思ったが、幸いなことに内藤はすぐにいい返事をくれた。
「俺、最近いい店見つけたんだよ。そこに行こう!」
何かのゲームアプリで珍しいモンスターを見つけたかのようなテンションで絵文字とスタンプを多用してきた。
内藤ってこんなキャラだったっけか?
俺は待ち合わせの駅へ向かった。午後六時過ぎ……陽が傾き始め、蝉の合唱も終わる時間帯。既に待っていた内藤と落ち合う。俺は彼に身を任せた。
「えっ? チェーン店じゃないの?」
「こういう個人でやってるお店の方が独身の俺には案外いいんだよ。思い切って入ってみたらハマっちゃって。お店の人とも仲良くなれたし」
確かにそうかもと納得し、暖簾をくぐると大将の奥さんであろう人が笑顔で挨拶してくれた。内藤が返す爽やかな笑顔に対して俺の笑顔はぎこちない。
この人たちは休みじゃないんだよな……。
「あら、お友達連れてきたの? ビールでいいかしら?」
「はい。地元に帰ってきた彼が私に連絡してきてくれたんです」
丁寧かつ嬉しそうに内藤は話す。やはり大学生時代とキャラが違う気がする。本当に嬉しいのか、職業柄そうなるのか。当時よりがたいがよくなっているようにも思う。俺は彼の一人称の変化が気にかかった。
しばらくして、ビールとサービスの枝豆が運ばれてきた。乾杯後に内藤が喋り出す。
「しっかし、まさか小野寺が連絡くれるとはなぁ。あっ、海外行ってたときも連絡くれたか。まぁ、地元が同じで同じ大学で教職課程を頑張った仲だからねぇ」
内藤はどこか感慨に耽っている具合だ。実際のところ、俺には友達と呼べる人が少ない。それでも自分には夜遅くに電話しても大丈夫な友達がいることを信じている。相手がどう思っているのかは全くわからないけれど。卒業してからいつの間にか疎遠になってしまうのは必然的なことなのだろうか。俺にとって人を食事に誘ったというのは奇跡的な行動に等しい。
「なかなか会えてなかったからなぁ」
当たり障りのない台詞を述べる俺。自分から誘っておいてどうなんだ俺。おかまいなしにと内藤は問いかける。
「最近どう?」
こんな質問をされた場合、大抵質問した本人が自分の最近の状況を喋りたい衝動に駆られていることが多いと俺は心得ている。
「まぁまぁってところ。そういう内藤はどうなの?」
一瞬俺たちの間に静かな空気が入ってきた。ビールのグラスを、既に若干据わったような目で見つめている内藤の姿が、駅にぽつんと置かれた公衆電話のように何となく寂しそうに俺の目に映った。
「俺のことはいいから小野寺の話聞かせてよ。今のことじゃなくてもいいからさ」
彼の予想外の返答に驚いたのも束の間、内藤が喋り出す。
「そういえば、小野寺は教員になる気がないのに教職課程受けてたんだよね? 就職活動もしてたね」
「英語を教えたいとか、英語の楽しさを伝えたいっていう気持ちはあったね。内藤は英語科の教員免許だけじゃなくて小学校の教員免許も持ってるんだからすごいわ」
「そうかぁ? 確か小野寺が一人暮らししてたところってテレビがなくってラジオ生活だったよな? 英語科教育法の課題を小野寺の家でやったときびっくりしたわ」
「ラジオを聞きながらやって、あの時は深夜までかかったね。まぁラジオは昔から興味があったよ。ラジオが災害のときにどれだけ役に立つか。それに聞きながら何か他のことができるし」
俺は将来英語業界かラジオ業界かに携わりたいと思っていた。今でもその想いを抱いている。しかしながら、所謂「学校の先生」になりたいという気持ちはあまりなかった。俺みたいなのが生徒指導するだなんて……。真剣に「学校の先生」を目指している人には失礼に思えるだろう。目の前には学生時代からの夢を叶えた内藤がいる。彼は俺のことをどう思っているのだろうか。
「でも、結局卒業してから学校に勤めたんだよな」
「臨時教員だけどね。拾われて本当に運がよかったと思う。教員免許状を取得できてよかったって今でも強く思う。就職活動に失敗して露頭に迷いそうだったし」
学習塾関係の英語が使えそうな業界をメインに俺は就活していた。経営理念が自分の考えとマッチしていて行きたかったところがあったが、そこの面接は三次で脱落。何事もスロースターターな俺が最初に受けたところでここまでいけたのは正直嬉しかった。しかし、その後の試験はうまくいかず。ただ後悔はしていない。
「学校で勤めることが決まる前にどっかの会社で研修受けてなかったっけ?」
枝豆を頬張りながら内藤が訊く。ビールを一口飲んで俺が呟く。
「そうなんだよなぁ……」
あれはあの頃の俺にとってビールよりもはるかに苦みの強い、インパクトの大きなものだった――。
次のチャプターはこちら!「夢、ときどき現実」Chapter3 (2021.6.10アップ)
Here is my link tree in Japanese. Ken-aka-Yammy Thank you very much for reading! See you Next time!