Let's state in English and Japanese

the Dream with the Occasional Real 7 -My Original Japanese Novel-

2021/10/20
 
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1年ほど滞在した海外から戻ってきてからしたいことがあったにもかかわらず、残念ながらそれと全く関係ない業界に導かれることになり、したいことを形にできていない自分が、何とかやってみようと藻掻いてみるサイトです。 興味関心ごとをアップしていく予定です。音楽や書道などの日本文化、日本語と英語の違いの面白さなどに触れてみませんか。Japanese Culture in English! Why don't you learn Japanese culture? みなさんとともに素敵な空間にできたらと思います。 (※ユーザーが投稿するコンテンツ等(引用文献等を除く)の著作権はユーザーに帰属します)Ken-aka-Yammy

Welcome to this page! 今から4年くらい前に書いてみた小説もどきを少しずつ投稿しています。
I have put little by little my Japanese sentences like a novel I wrote about four years ago.
 
日本語のタイトルは「夢、ときどき現実」です。本来は英文で書いていくページにするつもりでしたが、こちらには縦書機能があるので、こちらを使います。前回のチャプター6は以下からどうぞ

「夢、ときどき現実」Chapter6 (in Japanese)

※ユーザーが投稿するコンテンツ等(引用文献等を除く)の著作権はユーザーに帰属します。以下の縦書文章も同様です。(やみぃーノけんChan (Ken-aka-Yammy))
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「夢、ときどき現実」(©やみぃーノけんChan (Ken-aka-Yammy))

 

 俺は断った。だが、研修に通った分の交通費が支給された。

「どうやら私の期待通りには動けなかったようだね」

 そう言い残して代表取締役の伊集院さんは奥の部屋へと姿を消した。

 電話で問うた時は「現場に来るように」としか言われなかったが、現場に来た結果がこれだ。これで大学を卒業してからこのラジオ局に務めて働くということはなくなった。

 交通費受取確認のため押印しようとしたとき、そばにいた森畑さんから

「印鑑、いつも持っているの?」

 と尋ねられた。いつも携帯していたけれど、

「今日はたまたまです」

 と俺は答えた。静かな空気が流れる。しばらくして森畑さんから

「あなたは真面目だからこれから苦労するかもね」

 と告げられた。それは何の迷いもない、真っ直ぐな響きを帯びていた。

 

 こうして俺の就活は終了した。

 俺みたいに暗くて、気が利かなくてどうしようもない奴は誰も雇ってくれないんだろうなぁ。どこにも決まっていない状況で卒業式を迎えたけど、演劇部の同輩と集まって笑顔になれた。その時を楽しんだ。彼らは今元気にしているのだろうか。

 大学を卒業してからおよそ二週間後、幸運にもある学校から臨時的任用者としての勤務の話があった。所謂「学校の先生」になりたいという気持ちはあまりなかったのだが、結局のところ、資格取得に向けて勉強していたことが功を奏したような形になった。英語を教えることができる。その学校の校長との面談を経て、俺はそこで勤めることになった。

 

「すごいな。そんな経験してたなんて知らなかったわ。民間企業っていうか、ラジオ業界ってそんな感じなんか。しっかし、よく記録に残してるな。俺は5年前のこと、ほとんど覚えてないぞ。」

「ごめん、俺ばっかり喋っちゃって……」

「いやぁ、別にいいよ」

 結局俺ばかりが夢中になって話していた。内藤は合間合間にビールを頼んで五杯目。一方の俺は一杯も空にしていない。しかも俺たちは枝豆しか食べていない。よく飽きずに俺の話を聞いてくれたなぁと思う。次は内藤のターンにしたい。

「それで三年ほど学校で働いた後に君は海外へ行っちゃうっていう。かく言う俺は通信制の大学で小学校教諭の免許を取得した後に非常勤講師を経て、試験に合格して小学校に採用されたと」

 内藤の二人称が変化した。ワザと変えたのか。

 五杯目のビールを空にして内藤が呟いた。

「すごいな、お前」

 俺は一瞬ドキッとした。俺も内藤もお互いのことを名字で呼び合っていた。俺も内藤も「お前」という呼び方が好きではない。コントや歌詞などの世界のものだと思っている。その内藤がそんな二人称を使った。完全に酔いが回ってきたのか。

 正直言って俺の何がすごいのかわからない。寧ろ、夢を叶えて小学校教員を務めている内藤の方がすごいと思う。

 六杯目のビールを注文した内藤が喋り始める。

「人違いだったら悪いんだけど、帆足って人、俺が通っているジムで働いているよ。非常勤みたいだけど」

「えっ? そうなの?」

「俺の職場の人がその人と知り合いらしくってね。俺も会話したことあるけど、お前の言うようにプライドの高そうな人だね。帆足って人、フリーランスのスポーツ評論家を目指してるって話よ」

 こういう時、世間は狭いなぁと思う。

「帆足さん、前からフリーランスで働きたかったのかな?」

「単に『先生』って呼ばれたいだけじゃないか?」

 俺たちの間に暫しの沈黙が走った。

 

「そもそも何で海外に行ったんだ?」

 内藤が沈黙を破った。昔の俺なら「飛行機で」なんて軽くボケてみたものだが、今はそんな状況じゃない気がする。

「理由は色々あるんだけど……英語にコンプレックスがあったし、海外の人と働いてみたかったし、資格も取りたかったし……」

 俺は正直に答えた。実際のところ、当時はかなりの葛藤で揺れていた。

 「なるほど」と少し納得した様子を見せた内藤が言う。

「やっぱりそれは自分のためなんだな……」

「まぁそうだけど……」

 「けど」の後に続く言葉は特にない。内藤が一体何を言いたいのか身構えた。

 

次のチャプターはこちら!「夢、ときどき現実」Chapter8(2021.10.20アップ)

Here is my link tree in Japanese. Ken-aka-Yammy Thank you very much for reading! See you Next time! 

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